
不安や悩みが頭の中をグルグルして切り替えられない…

過去の嫌な出来事を思い出してつらい…

そんな心のモヤモヤを、自分の力で、しかも短時間でスッキリさせられる方法があります。それが TFT(思考場療法) です。
TFT(思考場療法)ってなに?
TFTは、アメリカの心理学者ロジャー・キャラハン博士によって開発された心理療法です。
博士は、水恐怖症で悩んでいた女性が「ツボをトントン」と刺激するだけで恐怖が消えた経験から、この方法を研究しはじめました。
現在では、日本でも病院や学校、相談機関など幅広い場面で活用されています。
どういう方法なの?
TFTのやり方はとてもシンプルです。
不安やストレスを思い浮かべながら、自分の体のツボを軽くトントンとタッピングします。
たったこれだけで、心の緊張やざわざわした気持ちが薄れたり軽くなったりします。

え?自分でツボを叩くだけで気持ちが変わるの?

そうなんです。実際に体験した方の多くが「(悩んでいたことが)ずっと昔のことのように遠くなった」「どうでもいい気がしてきた」「眠くなった」などの変化を語られます。
どんな時に役立つの?
- 人間関係のストレス
- 不安や緊張が強いとき
- 怒りやイライラが収まらないとき
- 過去のつらい出来事を思い出してしまうとき
- 夜なかなか眠れないとき
- 気持ちを切り替えて前向きになりたいとき etc.
このようにTFTは、日常のさまざまな場面で役に立ちます。
安全で誰でもできる方法
TFTは薬を使わず、自分でツボを刺激するだけです。
副作用もなく、短時間でできるため、安心して取り入れられます。
このようにTFTは、簡単で手軽で道具もいらない心理療法なので、世界の紛争や災害における人道支援にも使われています。
セルフケアとしてのTFT

なんだか不安になってきたな…

そうだ、そんなときには、ツボをトントンしてみよう!

こんなふうに、場所も時間も選ばず、自分で自分を落ち着けられる方法を知っていると、とても心強いですよね。
TFTは「気持ちがつらいな」と思ったときに、いつでもどこでもすぐに使える“心のお守り”のような存在です。
TFTを習慣として身に着けると、心が乱れても「自分で整えられる」という自信や安心感が持てるようになります。
具体的に知りたい方へ
様々な症状に対応する一連のツボの順番(アルゴリズム)が開発されています。自分の気持ちに合うアルゴリズムを行うと、7割くらいの方が効果を感じられると言われています。
アルゴリズムのやり方は、日本TFT協会のウェブサイトや動画を見ながら行うこともできます。ぜひ試してみてください。→こちら
それでも対処が難しい場合は、TFTセラピストにご相談することをお勧めします。→こちら
まとめ
TFT(思考場療法)は、体のツボを使って心を落ち着ける、やさしいセルフケアの方法です。
もし「気持ちが重い」「不安でいっぱい」と感じることがあれば、一度体験してみてください。
湘南こころの保健室Joinでは、TFTをはじめ、体から心を整える心理療法やセルフケアをお伝えしています。どうぞお気軽にご相談ください。
お問い合わせは→こちら
【コラム】TFTのはじまりとしくみ
TFTが誕生したきっかけは、水恐怖症に悩む女性・メアリーのケースでした。
当時の心理療法は、「恐怖や苦痛に慣れる」か、「考え方を変えることで克服する」という方法が主流でした。キャラハン博士もそれらの方法で治療を行っていましたが、1年半試しても効果はほんの少しだけ。メアリーは、プールが見える場所に何とか座れるようになっていました。
ある日、プールの水への恐怖と苦痛からメアリーは胃が痛くなりました。博士のアドバイスで目の下にある胃の経絡のツボを軽く叩いたところ、それまでの強い恐怖がすっと消え、笑顔でプールに飛び込んだのです。
その体験からキャラハン博士は研究を進め、TFTを体系化しました。
最初は数%だった成功率も20年後には70%を超え、現在は、最も上級のテクニックになると90%を超えると言われています。
人は、ある出来事を思い出すと「心」だけでなく「体」も反応します。
TFTは、その「心と体のつながり」に働きかける方法です。
嫌な記憶や不安に意識を向けながらツボを刺激すると、心のエネルギーの乱れが整い、不快な感じが減って気持ちが軽くなると言われています。
記憶はそのまま残っていても、もう動揺しなくなる――。
そんな変化を体験できるのがTFTです。
≪参考資料≫
森川綾女著 「たたくだけ!心と体の不調がすっきり つぼトントン」日本文芸社 2017年
一般社団法人日本TFT協会発行 「TFTセルフケア・ハンドブック」
日本ブリーフサイコセラピー学会編 「ブリーフセラピー入門 -柔軟で効果的なアプローチに向けて」遠見書房 2020年