忘年会・新年会にも役立つ、お酒の飲み方の新常識
12月に放映されたNHK番組「あしたが変わるトリセツショー」の「お酒とのつきあい方のトリセツ」は、衝撃的な内容でした。「もっと早く、若いうちに知りたかった…!」と呟いてしまいました。
けれど重要な知識のアップデートは、いくつになっても遅くはないと思います。こちらでシェアいたしますので、皆さまの大切な人に、ぜひ拡散してください。
私の個人的なアルコール遍歴
本題に入る前に、恥ずかしながら私のアルコール遍歴について、少しお話します。
独身時代は飲み会大好きで、ほぼ皆勤で参加。
新婚時代は夕飯と言えば居酒屋か、缶ビールを飲みながら料理。
・・・いったい酒代にいくら費やしたかわかりません。
「妊娠したら飲めない生活に耐えられるか」と本気で不安だったので、今思うと、アルコール依存の心理状態だったのだと思います。
不妊治療で授かった命を守るため禁酒。
長めの母乳育児を終えて飲酒を再開してみると、すぐに酔いが回り子どもの世話が面倒になって、不機嫌な態度をとったり放置したり…。自己嫌悪の連続でした。
久々に参加した職場の飲み会で羽目を外した後。夜中に動悸、息切れ、めまいが起きて「死ぬかもしれない」ほど苦しくなり、「救急車を呼ぼうか、でもご近所に説明するのが恥ずかしい」と、トイレで朝まで呻いていたことも何度かありました。
最近は、お酒の「おいしい、楽しい」ポジティブ面よりも、「面倒、苦しい、罪悪感」などのネガティブな影響が上回るので、飲酒に消極的になっていました。
そんな私が「なるほど、そういうことだったのか!」と腑に落ちた内容を、以下に紹介します。
自分のお酒との相性タイプをチェックする
日本人のお酒との相性は「強い・弱い」だけではない
お酒との相性は、主に遺伝子によって決まっているそうです。
欧米人は多くの人が「強い」遺伝子を持つそうです。
日本人は遺伝子的に「強い」縄文人と「弱い」弥生人のかけ合わせで様々なタイプが現れ、「強い」「弱い」だけではない5つのタイプに分けられるそうです。
アルコールは2段階で分解される
お酒との相性には主に「アルコール分解能力」と「アセトアルデヒド分解能力」を決める2つの遺伝子が関わっています。
アルコールは体内に入ると、下の図のように2段階で分解されます。
初めの段階のアルコール分解が苦手だと、酔いが残りやすく、ふわふわとした感じが長時間続くのが特徴です。
第2段階のアセトアルデヒド分解が苦手だと、顔が赤くなったり、頭痛や吐き気などの不快な症状がおきやすくなるのです。
あなたは何型? 質問に答えて簡単チェック
※ここまでの図の出典:NHKのウェブサイト「あしたが変わるトリセツショー」より
それぞれのタイプの特徴、注意点について
A型 酔いが抜けにくい(日本人全体の3%) | アセトアルデヒドの分解は得意だが、アルコールの分解が苦手。頭痛や吐き気などの不快症状は出にくいが、アルコールによる心地よさが抜けにくいため、最もお酒に依存しやすいタイプ。 |
B型 酒豪(全体の50%) | アルコールの分解もアセトアルデヒドの分解も得意なタイプ。 酔うためにはたくさん飲む必要があるため肝疾患に注意が必要。 |
C型 飲めると勘違い(全体の3%) | アルコールの分解もアセトアルデヒドの分解も苦手なタイプ。 それなのにアセトアルデヒドによる不快症状も酔いによって隠されてしまうため、飲めると勘違いしてしまう。飲み過ぎによる健康リスクに特に注意が必要。 |
D型 顔が赤くなり 不快反応出やすい(全体の40%) | アルコールの分解は得意だけれども、アセトアルデヒドの分解が苦手なタイプ。頭痛や吐き気などの二日酔いになりやすく、健康リスクに注意が必要。 |
E型 下戸(全体の4%) | アセトアルデヒドの分解がとても苦手なタイプ。急性アルコール中毒など、お酒を飲む際にはかなり注意が必要。 |
※正しい遺伝子タイプを知りたい方は、唾液による遺伝子検査(3,000円~5,000円で市販)も可能だそうです。
私の場合は、不快症状が出やすいのでC型かD型だと思いました。
若い頃はアルコールにも弱く不快症状が隠されて、飲めると勘違いしていたのかもしれません。
飲むことで人との距離が縮められるメリットも感じていたので、勘違いが好都合だったのかも…?
目からウロコ! 気持ちよく酔えて量を減らせるお酒の飲み方
今回のトリセツで私が最も驚いた、画期的な方法がコレです↓
①1杯目を30分かけて飲む
②2杯目以降は自由なペースで飲んでOK。(その後は自然と酒量が減っていく)
「えー、それだけ!?噓でしょ」と思いましたが。番組内で酒豪の方々が次々とほろ酔いになり、自発的に飲むのを終わりにする姿を見てビックリしました。
さまざまな研究から次のようなことが明らかになっているそうです。
- お酒を飲んでから、酔いが回るまでにはどんなに量を飲んでも約30分かかる。
- 早く飲んだ時と遅く飲んだ時、お酒による「心地よさ」はさほど変わらないものの、「具合の悪さ」は遅く飲んだ方が大きく減少する。
つまり、酔いが回るまでの30分の間ゆっくりのペースで飲むだけで、飲む量を減らせるばかりでなく、気持ちよく酔うこともできるのです。
ゆっくり飲むことは、昨年2月に厚生労働省が出した「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」でもお墨付きの飲み方です。
私は、育児ブランクからの復帰後は慎重にゆっくり飲んでいたため、より少ない量で酔っていたのだと納得しました。
けれど当時の私は「こんなもんじゃないはず」と頭で考え、昔と同等の酒量を維持しようとして深酒してしまったようです。
「酒は百薬の長」ではなかった! 少量でもリスク増が明らかに
かつては「まったくお酒を飲まない人と比べて、少量の飲酒をする人のほうが死亡率が低い」という研究をもとに、「酒は百薬の長」「節度ある適度な飲酒は健康にプラス」と言われていました。
けれど現在では、研究方法の改良により、この説は世界的に否定されるようになりました。
今、世界のスタンダードは「健康のためにアルコールは飲まないのがベスト」へと変化したのです。
下の表は特定非営利活動法人ASK(アスク)のウェブサイトに掲載されている目安です。
※上の二つの図の出典:特定非営利活動法人ASK(アスク)のウェブサイト
少量でもリスクが上がるという新常識に驚きました。
もっと若い頃に知っていれば…!
ゆっくり飲めば、リスクを減らしてお金も節約できたのに!!
無駄にハイペースで飲んで自分を傷めつけていたとわかりました。
改めて思う 「なぜお酒を飲むのか」
こうして、新しい知識と照らし合わせながら自分のアルコール遍歴を振り返っていると、「自分はあの頃、あの時、なぜ、何のために、お酒を飲んでいたのだろう」と、素朴な疑問がわいてきました。
今でも飲み会のたびに、飲もうかどうしようか迷っている私。飲む理由を整理できれば、今後の酒づきあいのヒントになるかもしれないと思いました。
一つの理由は「他に美味しい飲み物がなかったから」
昔は、居酒屋のメニューで選べるソフトドリンクが、コーラ、ジュース、ウーロン茶など決まりきったものしかありませんでした。
アルコールは要らないと思う時でも、料理に合う甘くない飲み物が少なくて、結局お酒を選んでいた気がします。
最近は美味しいノンアルコール飲料が増え、選択肢が広がってきているので良いですね。
↓のようなウェブサイトがたくさんあります。
参考:美味しく進化を続ける「ノンアル」の世界を深堀り! 〝酔わずに楽しめる〟人気商品もご紹介
心理・社会的な理由も大きかった…?
この年末年始、「飲もうかしら」と思うきっかけは、味や度数などお酒そのものの特徴とは、まったく関係ないところにありました。
久々に親戚が集まった時、私が「飲まない」と断ると、酒好きなその人が残念そうな寂しそうな表情になった気がしたのです。
そうすると私の方も、相手を喜ばせて楽しい雰囲気を作りたいような気持ちが働いて「じゃあ、一杯だけ」と言いたくなったのでした。
そんな自分の心の動きを眺めていて。
「そうか、私は相手の期待に応えて喜ばせたくて、お酒を飲んでいた面もあるのだ」と気づきました。
自分のためではなく、人のために、飲酒という行動を選択していた。
そう考えると、ずいぶんと「優しい」「いい子」の私が、相手のために尽くす努力の現れとして、お酒を飲んでいたのかもしれません。
そんな自分に苦笑しつつ、そういう自分をも受け入れ認めながら、飲む方を選ぶ時があってもいいと思いました。
ただし、そんな風に「意思で選ぶ」と言えるのも、まだ依存が成立していない間だけのことでしょう。
飲酒が習慣化してしまうと、果たして自分の意思なのか、薬物の作用で選ばされているのかわからなくなる点が、アルコールとのつきあい方が難しく、また恐ろしいところです。
本稿では、お酒とのつきあい方のうち「どう飲むとよいか」についての新知識をお伝えしました。
次回[後編]では、「なぜ飲むのか」という問いから、お酒とメンタルと人間関係について書いてみたいと思います。
どうぞお楽しみに!
出典
NHKウェブサイト あしたが変わるトリセツショー「お酒とのつきあい方のトリセツ」https://www.nhk.jp/p/torisetsu-show/ts/J6MX7VP885/blog/bl/pnR8azdZNB/bp/p6WBjzO05b
特定非営利活動法人ASKウェブサイト アルコール関連問題「厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」とASKの方針」
https://www.ask.or.jp/article/11687
厚生労働省ウェブサイト「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001211974.pdf
Oggi.jpおしゃれもキャリアも。働く女性のWebメディア「美味しく進化を続ける「ノンアル」の世界を深堀り! 〝酔わずに楽しめる〟人気商品もご紹介」
https://oggi.jp/7296755