Joinで行うカウンセリングとセラピー
臨床心理士が行う悩みやストレス対処のサポート方法というと、ソファに座って話をする場面をイメージする方が多いのではないでしょうか。
Joinでは、室内で座って話すカウンセリングスタイルで「緊張する」「落ち着かない」と感じてしまう方でも利用しやすいスタイルを提案し、一人一人にあったサポート法を探していきます。
その理由は、「人間は心から安全であると信頼できる環境で、安心した状態の時に、初めて社会交流に開かれた状態になる(自律神経の腹側迷走神経が働く)」というポリヴェーガル理論を重視しているからです。逆に言うと、腹側迷走神経が働かない状態(緊張して不安な状態)では、どんなセラピーを行っても、その人の中に効果が入っていかないし、無理強いは逆に負の影響を与えると考えます。
このように、ご依頼者様(以下、クライエントと呼びます)の安心・安全を第一に優先して、カウンセリングやセラピーを行います。それによって、発達の偏りや繊細さがある方、つらい出来事の影響で過敏さや不安が高まっている方のハードルを下げると同時に、「人に相談する」という行為自体に疑問や抵抗を感じる方も、「余計な話をしないで」心と体の調整ができる機会を提供していきます。
対話セラピー(カウンセリング)とは
厚生労働省の「若者を支えるメンタルヘルスサイト」では、困った時の解決の糸口として、カウンセリングを紹介しています。そこでは、カウンセリングの概要について、以下のように説明されています。
- カウンセラーが心の悩みを聞き、こころの専門家としての視点から指導や援助を行うこと
- 自分のことを話し、それをしっかり聞いてもらうことで、問題点が整理できたり、解決への糸口が見つかったりする
- どうしたらよいのかのアドバイスを受けたり、答えを出してもらったりするたのめものではない
- 自分自身の力で立直っていくきっかけをつくったり、気持ちや考え方を整理していくサポートを行ったりするのがカウンセリングである
そして、カウンセリングを受けるメリットについては、次のようにまとめられています。
・話をしっかり聞いてもらえる
・自分の考え方のくせや意外な長所に気づくことができる
・今抱えている問題を整理できる
・考え方を今の状況に適したものに切り換えられる
・人とうまくつきあうための自分なりの方法を見つけられる
・人として成長できる
厚生労働省 こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~ https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/consultation/counseling/index.html
※Joinの代表・青木は、臨床心理士(日本臨床心理士認定協会)、公認心理師(国家資格)の資格を持っており、その倫理規定に基づいてカウンセリングやセラピーを行います。
Joinの対話セラピー(カウンセリング)の特徴
現在世界には400以上もの心理カウンセリング・セラピーの理論があると言われます。つまり、一口に臨床心理の専門家と言っても「心」に関するとらえ方は多様であるため、「心の問題」のとらえ方と解決の道筋も多様なものとなります。
そんな状況なので、「カウンセリングを利用したい」と思っても、自分と相性の良いカウンセラーとすぐに出会えるともかぎらず、戸惑われるかもしれません。
ここでは、Joinの対話セラピー(カウンセリング)の特徴をお伝えします。カウンセラーを探している方は、相性を判断する材料にしてください。
特徴1:コミュニケーションやリソースを重視する
Joinのカウンセリング・セラピーは、臨床心理学の中では「ブリーフセラピー」に位置づけられる各種のアプローチを行います。これは「個人の人格や内面的な病理に焦点を当ててその原因を治していく」という従来の主流であった考え方とは、異なる部分があります。
ブリーフセラピーに基づくカウンセリングでは、人間関係やコミュニケーションの流れの中でクライエントを理解し、クライエントが持っている強さやリソースに焦点を当てていきます。人間関係やコミュニケーションは、やりとりの中で変化してくものです。関係性や文脈が変化すればとらえ方も変化し、お互いの心持ちも変わっていきます。
別の言い方をすると、クライエントの過去に遡って「原因は何か」を探ろうとするよりは、クライエントが今抱えている問題のありようを周囲との関係性や文脈の中で理解します。そして「これから先はどうなりたいか」「既にできていることは何か」などに目を向け、クライエントと話し合いながら、ゴールへの道筋を探り、創っていきます。
特徴2:クライエントとのつながりを大切にする
このような対話の中で、カウンセラーはクライエントを「治す人」ではなく、クライエントの経験を教えていただきながら、共に考えていくスタンスです。この作業を進める上で最も大事なのは、クライエントから「信頼できる」「対等に話せる」「よきパートナーだ」と思っていただくことです。
カウンセラーがクライエントと信頼関係を築くための方法として、ジョイニング(Joining)と呼ばれる技法があります。著名なセラピストの東豊氏は、著書の中でジョイニングについて「お仲間にさせていただくこと…信頼関係に至るプロセスとそのための手段」と説明しています(1993)。Joinのカウンセリングでは、クライエントとの関係作り(ジョイニング)を丁寧に行うことに心を砕き「この人を解決探しの旅の仲間にしたい!」と思っていただけるよう、努力します。
対話の仕方を工夫したセラピー
Walk & Talk セラピーとは
従来のカウンセリングルームで行うセッションの代わりに、外で歩きながら話をします。
運動とメンタル治療を組み合わせる方法の効果は、欧米を中心に1990年代から提唱され、実証研究によるエビデンスが示されてきました。アメリカ心理学会の論文では、次のような効果が挙げられています。
- クライアントのための良い運動行動をモデル化し、運動習慣の定着に役立つ
- 室内で面と向かって話すことが苦手なクライアントをリラックスさせる
- クライアントがセラピストを一人の人間として感じられ、信頼関係を築ける
- 脳の血流増加や活性のバランスにより、右脳の働きによる創造性と問題解決が促進される
- 自然環境の中に身を置くことにより、「自然による癒しの力」を得ることができる
また、アメリカの「サイコロジカル・サイエンス」に掲載された論文では、「うつ病の患者が、都市環境の散歩と比較して、自然の中を散歩した後の記憶能力の改善を示した」と報告し、公園での散歩を推奨しています。
自然セラピーとは
自然セラピーとは、自然環境あるいは自然由来の刺激によって生理的にリラックスし、低下している免疫機能が改善する「予防医学的効果」が得られるという概念です。
人は、その進化の過程の99.99%以上を自然環境下で生活してきたため、自然環境に適した生体システムを備えています。その生体のまま、都市化された現代社会を生きているため、日常的に強いストレス状態にあると言われています。自然環境や自然由来の刺激と接するとリラックスすることは経験的に知られてきましたが、それは人が自然対応用にできているからだと説明されています。
欧米では2000年代に「自然欠乏症候群」という考え方が注目されました。日本では、千葉大学の自然セラピープロジェクト(http://www.fc.chiba-u.jp/research/naturetherapy/research.html)や日本衛生学会森林医学研究会などで、様々な実証研究が報告されています。
自然セラピーで得られる主な効果は以下の通りです。
- ストレス状態を緩和させる
- リラックス効果をもたらす
- 自律神経、血圧、ホルモンなどの生理的状態を、高すぎるものは下げ、低すぎるものは上げて、ちょうど良い状態に整える
- 免疫機能が改善し、病気になりにくくなる
大自然と触れ合えれば効果は高いですが、山や森林へ頻繁に足を運ぶのは現実的ではありません。自然セラピーの第一人者である宮崎は「3種類の自然」という考え方を提案し、「大きな自然(木造建築物、森林)」へ通えない場合は、「中程度の自然(公園、庭、テラス、ベランダ、バルコニー)」や「小さな自然(エッセンシャルオイル、花、木製品、盆栽、自然の映像)」と親しむことでも、十分なリラックス効果が得られると説明しています。
対話を要しないセラピー
身体アプローチ
自律訓練法、筋弛緩法、呼吸法、タッピング療法など、体にアプローチし、リラックスや調整を行う方法です
活動・作業アプローチ
動作法、ウォーキング、作業や運動をするなど、体を動かす活動を用いる方法です
五感アプローチ
感情モニタリング、マインドフルネス、自然セラピーなど、五感にアプローチする方法です
※対話を要しないセラピーの詳細は「健康づくり・学び」のページへ → こちら
よくあるご相談内容
お仕事をしている方で…
- 良い仕事をしようと頑張っても、周りに評価されない
- 多忙に追われミスをしないか、いつも不安で緊張している
- 職場の同僚との雑談やコミュニケーションが苦手
- 仕事で力を使い果たし、休日は寝てばかりで楽しめない
- この毎日を変えたいが、辞めるのも怖い
家事・育児・介護など家の仕事を担う方で…
- 思うように進まず、感情がコントロールできない
- 家事を頑張っても達成感が無く、疲れが残る
- 自分で稼いでいないので引け目を感じ、我慢してしまう
- いつも家族優先のスケジュールで、自分の時間が無い
- 社会とつながっている感じが持てず、孤立感がある
- 「自分は一人前ではない」気がして、自信がない
自分や身内に病気や障害があるのかも?と心配な方
- 人づきあいが苦手で、ひどく疲れる
- 人からどう見られているか不安になってしまう
- 興味関心を持てないタスクが苦痛である
- 物や時間の管理が苦手である
- まんべんなく要領よくこなすことができない
- 発達障害があるのではないかと心配である
お子さんの様子が心配で、悩んでいる方
- 学校へ行かれない
- 友達とうまく付き合えない
- 親子関係がうまくいかない
- 不安や緊張が強過ぎて、生活に支障が多い
- 感覚が過敏すぎて、生活に支障が多い
- 万引きや乱暴など、困った行動があり、叱ってもなおらない
Joinがサポートしたいクライエント
「生きづらさ」を感じている女性の方
女性はライフサイクルの中で立場が変化し、それに合わせて自分を変えることを迫られます。幼児、少女を経て、若い女性へと成長するにつれ、「性的な対象」として扱われることへの備えが求められます。通学中、スポーツ活動中、部屋でスマホを見ている時、どんな場面でもリスクがあり「気を抜いたら危ない目に遭うかもしれない」という不安やストレスがつきまといます。残念なことに、女性の半数以上が痴漢を含めた何らかの性暴力を経験するという調査報告もあるのが、今の日本の実情です。
また、ライフコースを選ぶときにも、昔からの価値観と新しい価値観の両方からのプレッシャーを受けます。「女が男より出しゃばるなんて」「家庭と子どもを守るのは女のつとめだ」という声と、「女性も経済的・精神的な自立が必要」という声との対立の間で、どのようにバランスをとるかが大きな課題です。それらは光と影のような存在で、どの道を選んでも「自分の生き方はダメなんじゃないか」と、もう一方を意識し、自信を持ちづらいように感じます。
さらに青年期から成人期には、パートナーとの出会い、付き合い、結婚や出産の有無の選択、仕事の仕方や居住地の変化など、次々に課題と直面します。性感染症や妊娠など個人的でデリケートな課題も増え、また腕力や意思決定において男性より弱者になりやすい傾向も根強くあるため、なかなか他者に相談できず、困難を一人で抱える女性も少なくないでしょう。
そして中年期から壮年期には、プライベートでは、パートナーやわが子など新しい家族との生活を築く中で困難に出遭ったり、子育てや介護をきっかけに自身の親との関係が難しくなったり、老後が不安になったり…。それと同時にオフィシャルでは、職場の人間関係、立場と責任の変化や周囲の評価などにも対応しなければなりません。そして、生活面、経済面の問題への対処も常に重要です。
こうしてみると、女性が成長し生きていく過程では、困難に陥りやすい局面が無数にあり、いつでも、だれでも、深い悩みの沼にはまってしまうリスクがあるように思えます。
そんな女性の方こそ、Joinのセラピーをご利用ください。身近な人には話しづらいけれど重要な話を気兼ねなくできる「人生の伴走者」になれたら嬉しいです。そして、話をしてもしなくても、クライエントが長旅の荷物を降ろして疲れを癒すひとときを、共に創っていけるように努めます。
「発達障害」に関連する悩みや不安がある方
ご相談者の中には、自分やパートナー、わが子、部下など身近な人に「他の人と違う特性があるのではないか?」という不安を感じている方が多くいらっしゃいます。「発達障害」という言葉は広く知られるようになりました。でも「障害」という言葉に昔からの差別や偏見のイメージがあり、心配でもなかなか人には言えないという話もお聞きします。
また、意を決して相談や受診をしたものの「発達障害のグレーゾーン・疑い」と言われ、「結局曖昧で、どう考え、対処したらよいのかわからない」という方は多いです。
さらに、発達障害を疑われる方は、人とのコミュニケーションや慣れない場面を苦手とする場合が多いので、病院や専門機関には「行きたくない」と言われ、困ってしまうご家族の方も、とても多いです。
そんな時には、まずはその状況を心配していて「何とかしたい」と思っている方が、ご相談に来てください。
発達の問題と思われる場合でも、生まれながらの特性、育ちの環境で培われた経験、現在の環境下での不安など、複雑な要因が絡み合っていることも多いです。そうなると、たとえ「発達障害」の診断にあてはまるケースであっても、薬やマニュアル的な対応で即解決…とはいかないものです。
私は、20年以上親子の相談に乗ってきた経験から、どのようなケースにも共通して重要な対処法の柱は「環境調整」(苦戦している人の周囲がその人のことを理解し、その人が過ごしやすい物理的・心理的環境を整えること)であると考えています。
「環境調整」と検索すると、情報はあふれるほど出てきます。けれど、「当てはまるところもあれば違うところもある」「結局わが家の場合はどれに該当するのか」などがわかりづらいことがままあります。知識や情報を収集できても、それを自分のケースに落とし込もうとする段階で壁にぶつかり、独力では突破できずに、煮詰まってしまうかもしれません。
Joinでは、まずお話を丁寧に聴きながら、からみ合った糸を解きほぐす作業をお手伝いします。そして、見えてきた一本一本の糸に対して、必要な対処やつながり先などを具体的に提案したり、質問したりしながら、一緒に考えていきます。壁にぶつかっても、一緒に、少しずつ、歩みを進めていきましょう。そうすることで「まずこれをやってみよう」という具体的な目標や方法が見つかると、当面やるべきことがクリアになります。「もしうまくいかなくてもまた話し合って考えればいい」と思えるようになると、焦らず落ち着いて暮らせるようになります。そんな心のゆとりは周りにも伝わるので、次第に事態が良い方向へと回りだします。
※Joinは医療機関ではないため、診断や医学的なトリートメントは行いません。医療が必要な場合には、医療機関をご紹介いたします。
セラピー(カウンセリング)の流れ
1.「応急手当て」
今のつらさを何とかしたい…というような時には、とりあえずの応急手当てとして「じっくり聴いてもらう」ことが有効です。ありのままの自分から出てくる言葉を発しても「絶対安心な場」で受け止められる体験をすると、「誰であれこうするより仕方がなかったのだろう」「今の自分はそれなりによく健闘している」というように、困難な問題とガチンコで向き合っていた自分との間に隙間やゆるみができて、とらえ方が変化し、冷静に考えられるようになります。
2.「作戦会議」
現在の困りごとについて話し合いながら、今後「どこで、誰と、どんなことを、どんな風に」やっていこうかという解決の方向性を考えます。カウンセラーが筋書きを決めて主導するのではなく、クライエントの思い、大切にしたいこと、迷いや不安などを一緒に整理し、クライエントの中に眠っている最適な、時には意外な道筋を発見して、選んでいけるようサポートします。
3.「自分らしく、自然に、楽しく生きるための土台作り」
これからの人生で困難なことが生じても、自分自身の力で対処していく力を身につけられるようにします。対話的な方法では、傾聴だけでなく、カウンセラーからの質問やエクササイズなども行いながら、気付きや変化を促進します。また、身体を使ったアプローチも有効です。五感を通じて自分に気付き感情調整法を身につけるワーク、呼吸法、動作法、自律訓練法など、身体感覚や体験を通して、ご自身の変化の実感を落とし込んでいきます。セッション内だけでなく、日常生活の中でも課題に取り組んでいただくこともあります。一人でいる時にもカウンセラーと共にいる時と同じように、セルフケアできることを目指します。
4.再発予防と定期的なヘルスチェック
定期健診のように、ヘルスチェックとメンテナンスを行うことで、調子が悪くなることを未然に防ぎ、健康で気持ち良い暮らしを維持・増進できるようにします。
※上記は一例です。クライエントに合う形を相談しながら作っていくので、人によって違いがあります。
セラピーの形
対面形式
直接お会いして対面しながらお話しします。場所は、以下の中からお選びいただけます。
①湘南こころの保健室Join 平塚専用ルーム
JR東海道線平塚駅南口から徒歩10分、または松風町バス停から徒歩1分です。
詳しくは、道案内ブログをご覧ください。
②湘南さがみはりきゅうマッサージ カウンセリングルーム(日曜日のみ可)
小田急線伊勢原駅より徒歩3分です。
③当ルームの近隣のカフェ
当ルームがある松風町には素敵なカフェが複数あります。
オンライン形式
zoomを使ってオンラインでお話しします。お子さんの養育や介護、体調不良等の事情があって、予約の日に出かけられるか心配や困難がある方も、安心してカウンセリングを利用できます。
屋外形式
屋外を歩きながら、あるいはベンチに腰かけて景色を眺めながら、お話をします。外に出ることで、全身のリズミカルな運動や五感への刺激の増加などが生じ、自律神経の調整機能が活性化します。室内でのカウンセリングとはひと味違う効果が得られるでしょう。
1セッションの時間と料金
初回相談 90分 10000円
継続相談 60分 10000円
※セッションには、複数名で参加されても同一料金です。ご家族、親子、カップル、友人同士など、お好きな方と一緒にご参加ください。
※屋外のセッションはペットとご一緒の参加や、ベビーカーで赤ちゃんとお散歩がてらの参加もOKです。ただし、同伴者の安全確保等は、クライアントご自身の責任の下に、ご参加お願いします。
セラピー(カウンセリング)のお申込み方法
ご予約の受付は、メールまたはLINE公式アカウントからお願いします。→こちら
※文献・出典
- こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト~ 厚生労働省公式サイト
- ブリーフセラピー入門 日本ブリーフサイコセラピー学会編 2020年 遠見書房
- セラピスト入門 システムズアプローチへの招待 東豊著 1993年 日本評論社