子どもの不登校、親はどうすれば?

昨年度の小中学生の不登校、過去最多を更新

文部科学省の公表(令和4年10月27日)によると、昨年度の小・中学校における不登校の児童生徒数は約24万5千人で、前年度の約19万6千人から、5万人弱、つまり25%増えて、過去最多だったそうです。

不登校の小中学生9年連続で増加していて、10年前と比べると小学生は3.6倍、中学生は1.7倍に増えています。小学生では77人に1人、中学生では20人に1人が不登校となっている割合です。https://www.sentankyo.jp/articles/3939232f-8b56-479e-9752-f29da0d2bd1f

ちょうど先月、私自身も、この数値を実感する出来事がありました。

自治体主催の「不登校相談会」に参加したところ、会場が満席になるほど大勢の保護者であふれかえっていたのです。ご夫婦そろって来場している方も多かったようです。

この相談会には何度も参加していますが、上の子が不登校になった10年前に初めて参加した時には、座席が半分も埋まらず、閑散としていました。

当時は「マイナーな人だけが来る寂しい所」という印象でしたが、今は不登校の相談に関心をもって行動される方が多いのだと実感したのです。

わが子が不登校になった時、親が戸惑うこと・困ること

自分の子どもが不登校になった時、冷静でいられる親は少ないのではないでしょうか。

心配で夜も眠れなくなったり、なんとかしなきゃと頑張って情報収集したり、子どもを叱咤激励したり、なかなか変わらない子どもにイライラしたり、絶望したり、不安になったり、以前の姿を思い出して悲しくなったり…。

わが子が不登校になると、親自身の価値観や生き方を揺さぶられるような難しい課題がいくつも生じます。親が平常心を保てなくなったり、そんな自分を責めてしまいさらに気持ちが落ち込んだり…。

ご相談者様のお話を聴いていても、自分自身の経験からも、このような負のスパイラルが起きやすいと感じています。

わが子の不登校について、親が困ったと感じやすいことの具体例を、以下に5つ挙げてみます。

子どもを押すべき?引いて見守るべき?・・・学校への向き合い方

子どもが「学校休みたい」と行った時に「うん、わかった」と休ませていいのか、励まして「行ってみよう」と背中を押す方がいいのか、とても迷います。

休みたい気持ちを認めて受け入れてあげたい、という思いと。

嫌だと思っても行っているうちに慣れて平気になるかもしれない、という思いと。

そんな朝を迎えるたびに、親としてどうしよう、と、悩んでしまいます。

こんな状態、叱らずにいられない・・・子どもの現状のこと

わが子が不登校になると、親は、学校へ行かずに家にいる子どもの姿を見る機会が増えます。

たいていの子は、元気が足りなくなったから休んでいるわけで、家にいる姿は活動的の真逆になります。

以下は、不登校の子どもに起こりやすい状態です。

  • 遅寝、遅起きになる
  • 入浴や歯磨きをしなくなる
  • 寝転んでばかりいる
  • ゲーム、動画、SNSなどメディアを視聴する時間が増える
  • 部屋が散らかる
  • 外出を避ける                    等々

これらは、自律神経の状態が「充電モード」に入っていることを考えると、自然な現象です。

でも親の目には、このようなわが子の姿は「いかにも不健康」に見えて、悲しく残念な気持ちになるので、何とか改善してほしくてアドバイスや提案をしたくなります。

けれど、子どもは従わないどころか怒りだして、言い争いが多くなり…。

わが子と話し合いたくてもコミュニケーションがとれず、困ってしまうことがあります。

この先どうなる?・・・進路や将来のこと

親世代が子どもの頃は不登校の数が少なかったので、不登校になった後、どのような進路を歩んで社会に出ていったのか、イメージが描けない方が多いと思います。

通常のコースから外れると将来に不利益なのではないかという不安があると、子どもを説得して学校へ行かせようとしたり、行かないとイライラしてしまったり、親子関係にも影響が生じやすいです。

自分も人を避けてしまう・・・周りの人との会話や付き合いのこと

ママ友や近所の人、親せきなどに、わが子の現状をどう話すのか、話さないのか、というのも、親にとっては悩みの種になります。

私自身も、同じ学校の保護者との会話は悩みました。親しい友人には本当のことを話すにしても、知り合い程度の人に「うちの子不登校です」と言うのも気を遣わせそうだし・・・と思って適当に話を合わせていると、今度は嘘をついているような後ろめたい気がしてきて、変な汗をかいてしまうのでした。

親せきからも「親が甘すぎる、引きずってでも連れて行け」と私が叱られたり、「夜眠れないから何とか行かせてくれ」と泣きながら電話で訴えられたり…。

外部の人への対応に、親自身の感情を揺さぶられて疲れてしまう時には、なるべく距離をとって会わないようにしていたこともあります。

イライラしたり涙が出たり・・・自分自身のメンタルのこと

私には、わが子が学校へ行っていない時、通学時の見守り当番をするのがつらかった思い出があります。登下校する近所の子どもたちの元気で明るい笑顔を見て、ひそかに涙を拭いていました。

うちの子は、どうしてあんな風に元気に楽しく過ごせなくなってしまったのだろうと、悲しくなってしまったのです。

親にとっては、かつての元気だったわが子を突然に喪失したような体験です。すぐに受け入れられないのも当然だったと、今は思います。

でも受け入れられるようになるには、相当時間がかかりました。

様々な方々に相談して、話を聴いてもらって、整理して…という作業を繰り返してきました。

特に、自分と同じようにわが子の不登校を経験した方とお話したことで、「自分だけではないのだ」と思えて、救われた気がします。

不登校児の親として、どう対処する?

不登校を経験した人の事例を知れば知るほど、安心と勇気につながる

NHKのWEB特集「”大丈夫”を伝えたい、私たちも不登校だった 56人のその後」という記事を読みました。不登校の子の両親が、「このまま学校に通えず大人になったらどうなってしまうのか」という思いから、不登校の経験者を探して話を聞く活動を始め、これまでに56人の話を聞いて事例集を作成しているそうです。

不登校 “当事者の不安や苦しみを和らげたい” 事例集作り続ける夫婦 | NHK | WEB特集
【NHK】不登校経験者の「その後」を伝えることで当事者の不安を和らげたいと活動する夫婦。「大丈夫、学校は人生の一部でしかない」。

金子純一さん「伝えたいことは、やっぱり”大丈夫だよ”っていうことですね。いろんな例を知れば知るほど、安心と勇気につながるはずなので、1人で抱え込んで悩んでしまうと、なかなかいい方向に考えが行かないと思うんですけど、一人でも多くの例を知ることで安心と勇気を得ていただきたいなっていうふうに思ってます」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221027/k10013866591000.html
NHKのWEB特集「”大丈夫”を伝えたい、私たちも不登校だった 56人のその後」

この金子さんご夫婦の活動は、素晴らしいと感じました。

自分が安心できる場での「対話」を増やす

上記の金子さんご夫婦は、一人一人の不登校経験者の方々と、腹の底から話し合い、人生の話をすることができたのだと思います。

このように、自分も相手も互いに尊重し合う安全な関係性の中で「対話」をすることによって、安心したり、勇気をもらったり、自然に良い方向に進む力を得ることができるのだと思います。

同じように話をする行為であっても、以前私がうわべだけ繕って参加していた「会話」とは、質が違います。あの時の私は、周りの人を信用できないと警戒し、安心できない状態で話していたから、本心を出そうとしなかったのです。

信頼できる人たちがいる安全な場で、様々な話をすることができると、「このままで大丈夫なのだ」という安心感や、新たな見方・とらえ方のヒントを得ることができ、前に進む勇気が湧いてくるものです。

そうやって、親が少し安心した様子で家にいると、子どもにも伝わって、安心を伝播させることができるのではないでしょうか。

まとめ・・・親自身が大事にされる、安心する、人とつながる

わが子の不登校は、親にとっても一種の緊急事態で、何とかうまく収集しようと頑張っていらっしゃる方が多いことと思います。

そんな親御さんご自身の緊張状態を、少しでも和らげられるような、ホッとできる場所や時間は、ありますか。

親御さんご自身が、大事にされて、安心できる場を持てて、信頼できる人とつながること。

そして、寛いだ笑顔になる回数が増えること。

親が自分自身を大事にいたわることが、子どもにとっても最高の贈り物になるのではないかと思っています。

湘南こころの保健室Joinでは、お子様への対応法に悩む保護者のためのカウンセリングを提供しています。

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