通信制高校・合同相談会に参加して
先月、パシフィコ横浜で開催された「通信制高校合同相談会」(学びリンク株式会社主催)に行ってきました。
不登校のわが子の進路情報を得ようと思い、講演会を聞いたり各学校のブースで説明を受けたりしました。
特に、当事者である卒業生と在校生の体験談には、胸を打たれました。しっかりとたくましく、思慮深く成長していらっしゃる姿を見ると、不登校をしても未来を拓くことができるのだと励まされる思いがしました。
「複雑すぎてよくわからない」という素朴な感想
帰宅後に、一緒に行った夫に感想を聞いてみると「高校の種類やしくみが複雑すぎて、イマイチよくわからなかった」とのことでした。
私は今まで中学校や通信制高校で仕事をしてきたので予備知識がありましたが、初めて聞く人にとっては確かにわかりづらいだろうと思いました。
どちらか一人の親が聞きに行った場合、パートナーや子どもに正しく情報を伝えることが難しそうだと感じました。
よって、ひとまず、不登校生の保護者が情報を整理するための一覧表を作ってみました。
私の夫には「わかりやすい!」と好評だったので、こちらで共有いたします。
高校の種類としくみ・一覧表(神奈川県)
高校の種類の分類方法が多く、わかりづらい
高校の種類を説明するときに、次のように、いくつもの分類法や用語があるために、とても複雑に感じられます。
具体的には、以下のような分け方があるようです。
①学習する時間や場所と単位の取り方… 全日制 / 定時制 / 通信制
②卒業までの単位のため方… 学年制 / 単位制
③学習する内容の違い… 普通科 / 専門科 / 総合学科 / クリエイティブ / フレキシブル
④学校の母体(設置者)と学費の違い… 公立(県立・市立) / 私立
⑤高等専修学校… 専門的な学校に通いながら高卒資格を得られる学校。
⑥特別支援学校… 特別な支援を要する生徒が通う学校。高卒資格は得られない。
⑦高校卒業認定試験… 全教科で認定を受けると大学や専門学校の受験資格を得られる試験。独学や予備校で学習し受験準備をする。高卒資格は得られないが、進学し卒業すれば大学や専門学校の卒業資格が得られる。
これらを視覚的に整理したものが以下の表です。

スマートフォンでご覧の方は小さくて見えづらく、すみません。
PC画面やタブレットなどで全体を見渡せると、よりわかりやすいと思われます。
具体的な学校名を青字で表示 →各校の位置づけが視覚的にわかる
私は具体的にイメージしやすいように、青字で近隣の学校名を例示しました。
そうすることで、どの高校がどういう特徴の学校なのかを、視覚的に整理できました。
上の表には平塚周辺の学校が書いてありますが、皆さまがそれぞれがお住まいの地域に合うように学校名を書きかえると、よりわかりやすく、お役に立つかもしれません。
以下に、住んでいる地域の様々な高校を調べることができるサイトをご紹介します。
(上の表は、下記を参考に作成しました。より詳細および正確な情報については元情報をご確認ください。)
- 神奈川県教育委員会 神奈川県立高等学校(本校134校) https://www.pref.kanagawa.jp/kyouiku/ken-koukou.html
- 令和8年度入学者用 公立高校の定時制・通信制に進学を希望するみなさんへ https://www.pref.kanagawa.jp/documents/101556/r8teitsuu-pamphlet.pdf
- 神奈川の私立学校紹介 神奈川県私立中学高等学校案内 https://phsk.or.jp/school/division/high/
- 通信制高校があるじゃん! 通信制高校・サポート校の検索・資料請求 https://www.stepup-school.net/search/list/school_area=14/
- かながわ専各 一般社団法人神奈川県専修学校各種学校協会 https://senkaku.or.jp/chugaku/
様々な高校の入試方法
上の一覧表の分類ごとに、入試方法を書き込んだものが下の表になります。

私がわが子のために作った表には、公立高校の欄に、直近の入試の合格状況で欠員が出た学校を書き込んでみました。
近年、私立高校への経済的支援制度が充実した背景もあり、公立高校の中には、定員に達しなかったために志願者全員が合格する学校も毎年あります。
「不登校だから公立の全日制には入れない」と初めから諦めている保護者やお子さんの声を聴くことも多いのですが、必ずしもそうではないことがわかります。
実際に入学した後に通えるのか、通いたいかという点をよく考える必要はありますが、「公立の全日制も選択肢としてありうる」ことを、伝えたいと思いました。
・令和7年度神奈川県公立高等学校入学者選抜一般募集共通選抜等合格状況(各学校別の合格の状況等)https://www.pref.kanagawa.jp/documents/118555/bessi4.pdf
この表を作り、通信制高校が選ばれる理由を再認識した
このように不登校の中学生の進学先を書き出してみると、一覧表の下方にある通信制高校は、学ぶしくみも、入りやすさも、魅力的であると実感しました。
柔軟な対応が可能な学校であれば「何かあっても、安心して続けられる」と思えるのではないでしょうか。
私立の通信制高校に通う生徒は急増している
少子化に伴い高校生の数が減る一方で、私立の通信制高校の生徒数は右肩上がりに増えていることが、文部科学省の「学校基本調査」の統計によって示されています。
下のグラフは、そのデータを日本財団がグラフ化し記事に公開しているものです。

NHKや日本財団の記事によると、通信制高校に通う生徒は10年前の1.7倍になり、高校生の11人に1人の割合になっているそうです。
私立通信制高校の人気の理由は
私立通信制高校の人気の背景には、次のような理由があると記事に書かれています。
- 中学生の不登校が増え、通信制が受け皿に。
- 不登校、発達特性、自由な学び方を求める生徒など、個々の多様なニーズに対応。
- 学び方が柔軟で、オンライン授業、通学スタイル、自由な時間割、行事や部活動など、多彩な形態から選択できる。
- 私立校が増加し、通信制のイメージもポジティブに変化した。
学校が増えて多様化すると、選ぶのは大変…
私立の通信制高校とサポート校は多様で、特に都市部では迷ってしまうほど選択肢があります。
先月の説明会では参加特典として、下の画像のような資料をいただきました。

このような資料を活用しながら、お子様に合う学校を絞り込んでいかれるといいですね。
また、神奈川県が主催する「不登校児童・生徒、高校中退者等のための不登校相談会・進路情報説明会」にも参加したいと思っています。この会では教育委員会のスタッフなどがいらっしゃるので、公立の情報も直接聞くことができると思います。https://www.pref.kanagawa.jp/docs/v3p/hutoukou/sinro.html
「そうはいっても、不登校の子どもと進路の話をすること自体が難しい」という保護者の声も大変多いです。
その場合には、保護者向けのカウンセリングで、どうやって話を進めていくかを共に考えることを、Joinでは行っています。たとえ不登校のお子様ご本人が来られなくても、保護者の方とのご相談だけでも変化が表れるケースを日々、経験しています。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
不登校への対応を書いたブログ記事も、あわせてご覧ください↓
おわりに
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
このページは、私がこれまでに参加した説明会の資料や、公共性の高いサイトで公開されている情報に基づいて書きました。(令和7年7月20日時点)
お読みになってのご意見やご感想がありましたら、お問い合わせフォームから、ぜひお聞かせください。
※一覧表については、もしご要望が多ければ、ダウンロードやカスタマイズに対応できるようにしていくことも、今後検討したいと思っております。
≪出典≫
- 神奈川県教育委員会 神奈川県立高等学校(本校134校) https://www.pref.kanagawa.jp/kyouiku/ken-koukou.html
- 令和8年度入学者用 公立高校の定時制・通信制に進学を希望するみなさんへ https://www.pref.kanagawa.jp/documents/101556/r8teitsuu-pamphlet.pdf
- かながわ専各 一般社団法人神奈川県専修学校各種学校協会 https://senkaku.or.jp/chugaku/
- NHK WEB特集 通信制高校で生徒急増 なぜいま選ばれるのか? https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240917/k10014554861000.html
- 高校生の11人に1人が「通信制高校」へ進学。多様化するカリキュラムとニーズの高まりが、その背景に? https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/109823/education