ハラスメント的な言動はSOSのサイン? ー自分と周りを守る「心の調整法」とはー

「モラハラ」や「フキハラ」に、心当たりはないですか?

先日、ある法人のハラスメント研修で、「モラハラ」と「フキハラ」を切り口にお話をしました。皆さまは、この2つのハラスメントの意味を聞かれたら、何と答えますか?

モラハラってどういうこと?

相手の人格の尊厳を傷つけるようないじめや嫌がらせのことです

じゃあフキハラは?

舌打ち、ため息、大きな音を立てて物を扱うなど、不機嫌な態度で威圧して不快にさせるいじめや嫌がらせのことです

こうしてみると、モラハラやフキハラは特別なことではなく、しばしば起こりうることだと感じるかもしれません。「あの時あの人そうだった」「自分もやっちゃったことがあるかも」など、職場や家庭などで身近に経験している方も多いのではないでしょうか。

そもそもハラスメントってどういうこと?

「ハラスメント」とは「一方的な言動」のことです

ハラスメントは、お互いにフラットにやりとりできない状況である場合が多いです。一方的なコミュニケーションは、立場の上下や強弱がある人間関係では特に起こりやすいです。例えば、上司と部下間での「パワハラ」、教授と学生間での「アカハラ」、夫婦や親子間での「モラハラ」など、様々なシーンで起こりうることです。

モラハラ・フキハラはなぜ起きる?

職場でついイライラしたり、誰かの不機嫌な態度に振り回されて疲れたり…。

実はそれらは、あなたや周りの人の「性格」のせいではなくて「身体のSOS」かもしれません。

モラハラやフキハラは「怖い」「避けるべきもの」ですが、ハラスメントをする人自体が特別に怖い人、避けるべき人というわけではない場合が多いです。

これらがなぜ起きるのかを身体のメカニズム(自律神経)という視点で見ると、少し見え方が変わります。

モラハラやフキハラが起きるのは、心身が不安定な時

私たちの祖先は、進化の過程の中で、その時々の環境に合わせて身体の状態を切り替えながら生き延びてきました。

1つ目は、闘争・逃走モード。外敵など身の危険が迫っていると察知した時の、戦ったり逃げたりするのに適した状態です。わかりやすくするために「赤の状態」と呼びます。

2つ目は、休息・凍りつきモード。赤のモードでない時に休んで体を回復する、あるいは死んだように活動を止めて苦痛を回避する時の状態です。「青の状態」と呼びます。

3つ目は、安心・交流モード。危険がなく体も回復している時には仲間と群れて交流し、安全感と安心感を強固にします。「緑の状態」と呼びます。

私たちの身体には、環境に合わせて3つの状態を行き来することが、生命を維持するシステムに組み込まれているという考え方です。

モラハラやフキハラを起こしてしまう時、その人は緑の状態ではなく、赤の状態で闘争・逃走モードにあることが多いのではないでしょうか。つまり、心身の安心や安全な感じが損なわれて不安定な状態に陥っていることが、ベースにあると考えられます。

また一方で、ハラスメントにさらされた人は「怖い」「逃げたい」赤の状態になったり、不安が続いてエネルギーが消耗し動けなくなる青の状態になったりするのを、行き来すると予想されます。

ハラスメント的な言動が出るのは、身体が身構えているから

このような視点で眺めると、ついイライラして不機嫌な態度をとってしまったり、誰かに一方的な物言いをしてしまったりするハラスメント的な言動は、「異常な性格の人だから」ではなくて、「過剰なストレスなどの異常事態に対して身体が身構えている状態だから」であると考えられます。つまりその人の防御システムが作動している状態ととらえられるのです。

私たちにできること

身構えてしまっている人の身体の防御システムを解除できるように、ストレスフルな状況の改善や、ストレス反応のケアを行えるように調整していく方向が、根本的な解決への道筋と言えるでしょう。

ただし、そのような視点で対応できるのは、緑モードを保っていられる第三者です。

実際にハラスメントの被害にあっている当事者は、赤や青のモードで自分を守る反応が起きています。加害側の状態を理解することはできても、その言動を受け入れることはとうていできませんし、我慢し続けることは建設的な解決につながりません。

周りの人やしかるべき立場の人に今何が起きているのかを伝え、動いてもらうことが重要です。第三者に伝えることは、自分自身を守り、また相手の異常事態を早期に終わらせることにもつながるのです。

もし、どうしても伝えられそうな人が見つからない時には、以下のような外部の相談先があります。

厚生労働省・労働相談コーナー
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html

働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/soudan/

また、「湘南こころの保健室Join」でのご相談も可能です。どうぞお気軽にお問合せください。

2つの調整方法

人の身体の状態を調整していく方法には、大きく分けて2つの方法があります。

周りの人と一緒にいることで調整されていく「共同調整」は、最もパワフルで小さな子どものケアにも有効です。穏やかで落ち着いた緑モードの人と同じ空間にいるだけで、落ち着きが伝わっていきます

自分で調整していく「セルフケア」は、経験と共に身に着けられる方法です。例えば、体を動かす、声を出す、深呼吸をする、水を飲む、好きなことをする、話を聴いてもらう…など、いろいろな方法があります。自分が「気持ちいい」と感じられるものなら何でもいいのです。

疲れた時やストレスを感じた時には、ゆっくりと呼吸し、水分をとって、散歩する…という風に、小さなケアをしてみませんか?
それらはきっと、あなたと大切な人を、ハラスメント的なコミュニケーションから守ってくれることでしょう。

ハラスメントの被害・加害から身を守るセルフケアを

「湘南こころの保健室Join」では、上記でご紹介したセルフケアの方法に加えて、専門的な心理療法として用いられている身体技法(TFT・ブレインジム・ホログラフィートークなど)を通じた心の健康の維持と回復のお手伝いをしています。

気になる方は、ぜひLINEでメッセージをくださいね。

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≪参考にした本≫

「ハラスメントがおきない職場のつくり方」中川瑛著 大和書房 2023

「部下との対話が上手なマネージャーは観察から始める ポリヴェーガル理論で知る心の距離の縮め方」白井剛司著日本能率協会マネジメントセンター 2024

「ポリヴェーガル理論がやさしくわかる本」吉里恒昭著 日本実業出版社 2024

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