新入社員がすぐに辞めて転職する「スピード退職」が話題になっています。
とはいえ、今の職場に踏みとどまって努力を続ける人も多くいます。
ただ、それが限度を超えてしまうと心とからだの不調が生じることもあります。
(※まだお読みでない方へ:詳細はこちらの記事をご覧ください↓)
今回は続編として、仕事のことで自分を責めてしまう時、すぐにできる対処法をご紹介します。
こんな風に自分を責めてしまうこと、ありませんか?
他の人はもっと大変なのに頑張っている。小さなことで悩んでいる自分の弱さが情けない。
誰だってやりたくないこともガマンしている。やる気を出せないわがままで甘えた自分が嫌になる。
そもそも自分に合う仕事がこの世にあるのだろうか。自分の能力が欠けているんじゃないか。
転職は嫌なことから逃げたいだけで、次の仕事も結局うまくいかない気がする。根本的に自分を直さないと何も変わらないと思う。
※自分に合う仕事を見つけたい方には、心理検査がお役に立つかもしれません。
職場に合わせようとする?しない? どちらにも良さとリスクがある
「こんな職場は辞めた方がいい」と考える人は、すぐに退職するかもしれません。
転職がうまくいき自分に合う職場と出会える場合もありますが、そうはいかず、転職を繰り返して落ちつかなかったり、待遇面がダウンしたりする場合もあるでしょう。
反対に「職場に合わせて自分を変えなければ」と考える人もいます。
自分を変えようと努力することは、成長の原動力です。
将来、想像もしなかったような自分になれる可能性もあります。
けれど、自分を変えて適応することは、そう簡単には進まないものです。
「まあ仕方ない」とのんびり構えることができればいいのですが、
「早くできるようにならなければ」と焦ったり不安になったりすると、
「まだできない自分はダメだ」と、自分を否定的に考えがちになる場合があります。
自分を否定的に考えるクセの影響
思い浮かべてみてください。
自分を否定的に考える時、体はどんな状態になりますか?
たとえば、下のような感覚を、感じることはないでしょうか。
- 胸がキュッと締めつけられる
- 肩や腕に力が入る
- 頭がズーンと重くなる
- 背を丸めてうつむきたくなる
- ため息が出る
- 足取りが重くなる
自分を否定的に考えるクセが行われるたびに、心とからだには負担がかかります。
このクセを頻繁に繰り返すことは、とてもエネルギーを使うことです。
やがて、日常生活の中でやるべき他のことを行う余力が尽きて、落ち込んだり、動けなくなったり、するかもしれません。
今起きていることを冷静に、客観的にとらえ直す
上で紹介した4つのセリフの青色の部分は、自分を否定する考えでした。
でもこの考えは、絶対に正しい事実と言えるでしょうか?
自分ではなく友人だったら?と考えてみる
上の4つの吹き出しのセリフを、自分のことではなく、友人が言ったセリフだと思って読み直してみてください。
その友人の隣にあなたがいて、このセリフを聞いていたら、どんな風に思いますか?
どんな言葉を返しますか?
友人のこととして客観的に見ると「そうとも限らない」「そんなに自分を責める必要はない」と思えるかもしれません。
人は、何かを目指して必死に努力している時にはそのことに集中し、視野が狭くなるものです。
だから、自己否定的な考えについても、思い込みが強くなり、柔軟に考えられなくなるのです。
このような状態は「認知の歪み」と呼ばれることもあります。
自分が「認知の歪み」にとらわれていないかをチェックするために、他人目線で考えてみる方法を、試してみてください。
視野の狭まりを解消する
ある特定の目標に向かって集中しているからこそ、視野が狭まっているのです。
それによって自分がつらくなる場合は、集中が過剰なのかもしれません。いったん目標から視点を逸らして、視野を広くする方法もおすすめです。
例えば…
- 違う部屋や外へ移動する
- あたりをきょろきょろ見回し、気になるものを見つけて観察する
- 音、光、匂いなどの刺激に意識を向ける
- いつも行かない場所へ、外出や旅行をする
- 映画、アニメ、ゲームなど、自分とは違う視点で没入する体験を持つ
こんな風に、気がかりなことから視点を離してから、改めて「友人に起きたことだったら、どう考えるか、どう助言するか」と考えて、紙やスマホのメモなどに書き出してみてはいかがでしょう。
書いたものをもう一度見直すことで、さらに一歩引いた視点でとらえ直したり、新たな視点で気付いたりすることがあるかもしれません。
身体を動かす
自分を否定的に考えた時の身体の反応を改善すると、心の方も楽になることがあります。
- 歩く
- 運動する
- 声を出す
- 歌う
- リズミカルに動く
- 単純な作業をする
このように、身体を動かすことで筋肉の緊張をゆるめると、自然と気持ちが楽になると感じられるかもしれません。
運動をするとストレス物質であるコルチゾールの量がコントロールされ、脳の働きが改善することは、科学的にも解明されています。
考え方を変える方法を試しても「結局よけいに考え過ぎてうまくいかない」という人は、考えや気分を変えようとすることをやめて、ただ身体を動かそうと集中することが、役に立つ可能性があります。
今回は「仕事が合わない」と思い、つらくなった時に、すぐにできる応急処置の方法をご紹介しました。
次回は、長期的にはどのように仕事を選び生きていくのかなど、根本的な解決を考えるヒントをご紹介する予定です。
記事の公開まで、どうぞ楽しみにお待ちください。
【参考文献】
①竹田伸也著 マイナス思考と上手につきあう認知療法トレーニング・ブック 2012年 遠見書房
②成瀬悟策著 動作療法の治療過程 2019年 金剛出版
③アンデシュ・ハンセン著 運動脳 2022年 サンマーク出版